



配置
住戸平面先輩の知り合いのホセ・タロウさんの紹介で引越した。この研修生は、メキシコについてから数日以内に住居を探して契約しないといけない。研修生にとって最初の難関である。スペイン語での交渉や保証人の調達の問題など、家に入るまでにはかなりのハードルがあるにもかかわらず、ホテルは数日内にチェックアウトしなければならない。わりと無茶なのである。僕は現地調達などできないだろうとびびって知り合いネットワークを辿っていったら、行き着いたのはマリオ・パニという建築家の計画した集合住宅の12層目。ほぼ最上階のシェアルーム。なんとすばらしい家!なんと優良な不動産ストック!
マリオ・パニはUNAM(メキシコ国立自治大学)を計画した建築家の一人で、この集合住宅は1949年竣工(くわしくはa+u0302に掲載)。RCのフレームに煉瓦色の嵌った外観。6つの住棟がメキシコシティのとあるブロックに雁行して配置され、空地は森とバスケコートと店舗。共用廊下からはメキシコシティが一望でき、その先にはシティを囲む山並み。なぜか僕の住む部屋の入口には鍵が5つついているのは、前の住人が日本人だったからか。内部はメキシコには珍しいメゾネットで、シェアルームだけどゆるやかなワンルーム。建築的仮設と振る舞いの調整が求められる。