


スペイン語のテストを間近に控えた月曜日、Albert Kalach事務所の日本食パーティーのお誘いを頂く。テストには奨学金がかかっているが、日本から持ってきた越乃景虎とポートフォリオを提げて外へ出る。一面が中庭に開放された事務所のミーティングルームには、潔くざっくりとしたディティールで質量のある物質がレイアウトされている。頭のすぐ上で連続する木の床梁、錆の出始めた形鋼の梁受け、2m角の木フラッシュドアと、中庭の土を押さえる多孔質のコンクリート腰壁、火山岩のような石ブロックの床。Kalach本人とUNAM建築学科のHumberto Ricalde教授と所員たちが木の長テーブルを囲む。力強い状況に囲まれてもなお、スーパーインポーズされた寿司は圧倒的な存在感とパフォーマンスをもって鎮座している。そしてKalachとRicaldeが寿司を巻き、御利益があるかのようにみんなに振る舞うという、いささか謎めいた風景が展開される。
宴終わって、タロウ事務所のKさん宅に戻り、この日に帰国する日墨生で所員のWの門出を祝すぐだぐだの宴。なんたるコントラスト。