2009/12/21
All images:(c)Taller de Arte y Arquitectura México-Japón
メキシコはチアパス州にあるコーヒー農園は100年ほど前にドイツ人商家に送られた移民が開墾した。当時は最初の日墨移民である榎本移民団35人もコーヒー農園の開墾に従事したが、栽培に不向きな土地をあてがわれ苦難の末失敗に終わったという。ドイツ人の農園は開墾に成功し、現在は主にグアテマラ移民の手によって維持されている。こんにちではチアパス産のオーガニックコーヒーは価値づけられて、メキシコのみならず世界で流通している。
このプロジェクトはこうしたコーヒー農園の季節労働移民のための住宅のプロジェクト。40戸の単身者向け住宅と12戸の家族向け住宅が、現地の材料で作ることのできる版築と竹の壁でできていて、すべての材料は特別なものでなく、メキシコ特有の盗難の対象にはならない。また、反復して増築あるいは新築が可能なシステムを提案している。個々の単位が編み合わさるようにして一つの全体を構成していて、個人に所有される住戸の形と、農園に所有される住棟の形がある。年間3000ミリを越える驚異的な降雨を受け止め、風を通す乾いた環境を得るための形をしており、環境に対してパッシブな形が同時にフィンカ入口のランドマークとなっている。
ここ数ヶ月の事務所での作業の集大成である。
2009/12/16
12月12日は聖母グアダルーペの日。Peregrinaciónといわれる深夜の巡礼をするために、世界最大のクリスマスツリーを望みながら深夜にレフォルマを出発して、グアダルーペ寺院を歩いて目指す。歩いて3時間の道すがら敬虔なメキシコ人からコーヒーとトルタをもらう。この日ばかりはマラソンのごとく親切に給水・給コーヒー・給食の大盤振る舞いがなされる。寺院が近づくと信じがたい数の人に阻まれ、1時間以上ほぼ動きが取れない。チアパスから1000km以上歩いてくる人もいれば、自転車やデコ・ビシタクシーでやってくる人もいる。ときおり膝で歩く人もいて、とても辛そうだ。グアダルーペの肖像をもって、あるいは仏壇?を背負ってくる人も多い。信心のかけらもない僕は立ち尽くしているだけで大変なのだが、見かけによらず信心深いメキシコ人は深夜でも元気だ。
明け方まで続くミサをみて帰途につくと、体力尽きて道で眠る人が何千人といる。冷たく固い地面で眠る彼らはそれが本望のようだ。バスもなくタクシーに乗ると、運転手は程なくしてスピードを落とす。パンクだという。かなり危ない夜道でジャッキアップして直すも、スペアタイヤの空気が抜けていて、仕方なく立ち寄った修理屋で空気を入れると爆音とともに再びパンク。普段なら強盗に遭うような地域で戦々恐々としてパンクしないタクシーを求めた。不信心が祟ったか。
2009/12/08
2009/12/07
2009/12/02
スペイン語のテストを間近に控えた月曜日、Albert Kalach事務所の日本食パーティーのお誘いを頂く。テストには奨学金がかかっているが、日本から持ってきた越乃景虎とポートフォリオを提げて外へ出る。一面が中庭に開放された事務所のミーティングルームには、潔くざっくりとしたディティールで質量のある物質がレイアウトされている。頭のすぐ上で連続する木の床梁、錆の出始めた形鋼の梁受け、2m角の木フラッシュドアと、中庭の土を押さえる多孔質のコンクリート腰壁、火山岩のような石ブロックの床。Kalach本人とUNAM建築学科のHumberto Ricalde教授と所員たちが木の長テーブルを囲む。力強い状況に囲まれてもなお、スーパーインポーズされた寿司は圧倒的な存在感とパフォーマンスをもって鎮座している。そしてKalachとRicaldeが寿司を巻き、御利益があるかのようにみんなに振る舞うという、いささか謎めいた風景が展開される。
宴終わって、タロウ事務所のKさん宅に戻り、この日に帰国する日墨生で所員のWの門出を祝すぐだぐだの宴。なんたるコントラスト。
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